光を取り戻した幸せ

 光を取り戻した幸せ

平成21年2月11日(水)
愛と光と アイバンク運動推進大会」で講演
角膜移植者 T・K

 私は、昨年(2008年)5月中旬に山口大学附属病院で左眼に角膜移植手術を行っていただきました。現在、9か月が経過しております。既往症として、40代半ば、健診で緑内障、糖尿病との指摘を受けており、現在も治療中です。
 50代の半ばに両眼が白内障になり徐々に進行し、特に右眼が見辛くなったため、市内の医院で眼内レンズを挿入していただきました。そのとき既に、検査で両眼角膜細胞数が減少していることを指摘されていましたが、眼内レンズ挿入後、右眼は徐々に視力が出てまいりました。
ところが一昨年、(2007年)初夏、今度は左眼が急に霞が強くなり見辛くなりました。検査の結果、左眼の角膜細胞数がかなり減少しているので、角膜移植を行って眼内レンズを挿入する手術を山口大学病院で受けるよう勧められました。
 私は角膜移植と聞き、とても怖くて移植手術を受ける勇気がありませんでした。そして何ヶ月か経ちました。秋になり、通院している医院の先生が学会でいらっしゃらないときに、山口大学附属病院の先生が代わりに診察してくださいました。やはり、その時も同じように角膜移植を勧められました。それでも私は移植手術を受ける勇気が無く、視力の低下のため不自由で困難な日々を過ごしていました。緑内障のために夜も歩けません。かすみが強く何をしてもすぐ疲れます。私は趣味が多い方だったのでイライラして主人によく愚痴をこぼしていました。ところが一昨年の3月の終わりの週にやはり医院の先生が学会に行かれて、秋に診てもらった先生に代診で出会うことができました。その先生は山口大学附属病院で角膜移植をされているということでした。そのとき初めて角膜移植の詳しい話をききました。「大学病院には西田教授を始め、優秀な先生がたくさんいらっしゃいますから勇気を出して行きなさい。」と言われて、わたしはもう自分でもずいぶん辛い日々を過ごしていたのでその場で直ぐに先生に紹介状を書いてもらい、山口大学附属病院の西田教授の診察を仰ぎました。色々な検査をたくさんした結果、角膜の移植手術を受けることが決定し、近間先生が主治医になってくださいました。そして、入院してわたしは初めて角膜移植の患者さんが多いのに驚きました。私が移植手術を受けた日も角膜移植の手術を受ける患者さんが4人もいらっしゃいました。
 山陰の方とか九州の方、他県の方、県内の方、私も同室で9人か10人の患者さんとの出会いがありました。先生からは、手術はちょっと時間がかかったが、角膜移植はスムースに済んで眼内レンズも無事に入ったことを聞かされ、わたしはとっても安心し、喜びを家族と共に分かち合スズラン.jpgいました。入院して3日目か4日目に視力を計りましたら、0.5ぐらい見えて先生もわたしもびっくりの状態でした。でも先生は、視力が1週間目ぐらいから少し落ちますよと言われました。不安を抱えましたがやはり視力は落ちていき、霧の中にいるようで全く見えるような状態ではありませんでした。3人の先生が主治医になって一生懸命治療をしてくださいました。2週間目に入りまして、漸く見えるようになりました。距離が10センチぐらい離れたら大きな字が見えてとっても嬉しかったことを鮮明に覚えております。そして入院生活でもたくさんの出会いがありました。私は同室の患者さんと共に悩みを打ち明けたり喜びを打ち明けたり、本当に涙をしたり笑ったり楽しかった有意義な入院生活を送りました。これからの人生を生きるために勇気と元気をもらった入院生活でした。先生たちも一生懸命治療してくださって、今日があることを私は嬉しく思っています。それでも、私が今日こうして皆さまとお会いできるのは、角膜提供をしてくださった方がおられて、その方により救われたからだと思っております。
 余談ですが、孫たちが手術の前に下関の山寺からお守りをもらってきてくれました。余談ですが、私は今でもそのお守りに朝と夕に、必ず感謝の気持ちを述べてお祈りをしております。移植手術を受けて3週間経ったころには退院することができました。今でも眼圧は高めです。治療はまだまだ長く続くと思いますが頑張っていきたいと思っております。 これからも明るく人生を生きていきたいと思っています。そして、角膜移植を必要とされている方がたくさんいらっしゃるように聞いております。その方々が1日も早く視力を取り戻し、明るくて、四季を感じて生きていけることを願っております。入院中は検査もたくさんありました。でも検査の方々もいつも一つ一つ丁寧な説明をしてくださいます。ナースやスタッフの方々も一生懸命治療してくださいました。わたしはまだまだこれから先も山口大学附属病院と山口の医院を2週間に1度通院して治療を受けたいと思っています。 本日、山口大学附属病院の諸先生の方々と、そして、スタッフの皆さまに自分が明るい人生を取り戻せたことに厚くお礼を申し上げます。また、私を支えてくれた家族や子供、孫達にもありがとうと感謝の気持ちを伝えます。
 不慣れな場での言葉でお聞き苦しいことも多々あったでしょうが、最後までご静聴くださりありがとうございました。
 (講演者は、海外から届けられた角膜で移植手術を受けられました。)

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2011年9月29日 10:22 | カテゴリー: 提供者・移植者の声
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