角膜が病気やけがで濁ると光が通らなくなり、物が見えなくなります。
この濁った角膜を透明なものに取り換えるのが「角膜移植」です。
角膜移植をするためには、亡くなられた方から提供された透明な角膜が必要になります。
眼の病気のある方、白内障の手術をされた方でも多くの場合は角膜を提供することは可能です。年齢制限はありません。
角膜移植について
■ 目の不自由な方に希望の光を
■ 移植の目的
- 1 光学的角膜移植:角膜混濁を透明化、角膜形状異常を正常化することで視力向上を図る。
【対象疾患】○ 角膜混濁: 角膜白斑(角膜ヘルペス、麻疹、梅毒、外傷) 感染性角膜炎(瘢痕治癒期) 角膜ジストロフィ 水疱性角膜症など
○ 角膜形状異常: 円錐角膜など 角膜ジストロフィ水疱性角膜症円錐角膜角膜移植後角膜移植後角膜移植後
- 2 治療的角膜移植:感染巣を切除し感染症を鎮静化する。
【対象疾患】
○ 感染性角膜炎(薬物治療が無効の場合のみ)
切除部位の形状に応じた移植片での補填が必要である。 - 3 整形的角膜移植:角膜穿孔、角膜切迫穿孔において眼球の形態を保つ。
【対象疾患】
○ 角膜穿孔、角膜切迫穿孔(デスメ膜瘤) - 4 美容的角膜移植:角膜の見た目を良くする。
【対象疾患】
○ 角膜白斑(肉眼上も目立って、手術の希望が強い場合)
他に、水疱性角膜症などで角膜移植をすることで眼痛を軽減できる場合もある。
■ 移植手術の種類
角膜を上皮から内皮までの全層で交換する「全層角膜移植術(PKP)」が角膜移植の基本となる。それに対して、近年悪い部分だけ入れ替えるというコンセプトの角膜パーツ移植の手術件数が増加している。角膜パーツ移植には、「表層角膜移植術(LKP)」、「深層層状角膜移植術(DALK)」、「角膜内皮移植(DSAEK)」、「角膜輪部移植術(LT)」などがある。それぞれの術式に適応の病態があり、長所・短所があるため、それらを十分に熟知したうえで術式を選択していくことが重要である。
文責:山口大学眼科 山田直之